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オープニング
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『地球は放置してても育たない』。これは、地球とつながっているちょっと不思議なゲーム。ミッションをクリアすると、地球がレベルアップするんだとか。でも、みんなにいつも放置されているみたい…。

scene 01「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」
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「イェーイ! どうも、地球でーす。ゲームを始めてくれてありがとう。みんなもいっしょにおどろうよ」。ところがとつぜん部屋が暗くなりました。「え? 停電?」。しかもスマホのバッテリーも切れていました。「あっ、寒くなってきた。そっか、エアコンも止まっちゃったのか。電気が止まっただけで何もかも止まっちゃった~。でも、せっかく来てくれたんだからお仕事しなくちゃね。じゃあ、ステージを選択(せんたく)してね」。SDGsステージから選ばれたのは、『エネルギーをみんなに そしてクリーンに』です。「よし、いくよ!」。地球がまほうのつえを持ってじゅもんをとなえます。「アスアース、みール!」。

scene 02電気のない生活-7億3000万人以上
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今、世界では、電気のない生活を送っている人たちが7億3000万人以上もいます。その多くはアフリカの農村にすむ人たちです。夜、主に明かりにするのはランプ。料理や暖房(だんぼう)には、木の枝(えだ)を乾燥(かんそう)させたまきを使います。電気が来ている病院でも、電力不足のため停電が多く、照明や医療(いりょう)器具、ワクチン保管(ほかん)用冷蔵庫(れいぞうこ)がたびたび止まります。それらが原因(げんいん)で、ワクチンが打てず病気で亡(な)くなる子どもが150万人もいるのです。わたしたちには関係のない話に思えますか? ところが日本でも他人事(ひとごと)とは思えない出来事が起きました。

scene 03地震による北海道全域の大停電
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2018年9月6日。北海道で大停電が発生しました。街なかでは信号が消えたためにふだんの2倍以上の交通事故(じこ)が発生するなど大混乱(こんらん)に。停電は北海道の全域(ぜんいき)におよび、日常(にちじょう)生活がほとんど機能(きのう)しなくなりました。停電の原因(げんいん)は、震度(しんど)7の地震によって発電所が停止したことです。大きな発電所から各地に電気を送る「大規模(きぼ)集中型発電」というシステムを利用しているため、広い範囲(はんい)に被害(ひがい)がおよんでしまったのです。日本ではこの大規模集中型発電が主流。なかでも、火力発電や原子力発電が主な発電方法です。

scene 04火力発電と原子力発電の原理
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発電の原理を見てみましょう。お湯をわかすとできる蒸気(じょうき)が、「タービン」とよばれる羽根車を回して電気をつくります。火力発電は、石炭や石油、天然ガスといった化石燃料(ねんりょう)をもやしてお湯をわかします。原子力発電の燃料は、ウランやプルトニウムという放射性物質(ほうしゃせいぶっしつ)です。核分裂(かくぶんれつ)という反応(はんのう)を起こすさいに出す大きな熱でお湯をわかすのです。どちらも効率(こうりつ)がよく、安定して発電できるため、発電方法の中心にされてきました。ところが、これらの方法には未来に向けての問題が指摘(してき)されています。

scene 05“核のごみ”や“地球温暖化”という問題
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たとえば、原子力発電は発電時に二酸化炭素(にさんかたんそ)を出さないというメリットがあります。しかし、2011年に起きた福島第一原子力発電所の事故(じこ)のように、いったん事故が起きると被害(ひがい)が大きく長く続きます。また、使い終わった燃料(ねんりょう)は“核(かく)のごみ”とよばれ、人体に危険(きけん)をおよぼしますが、保管(ほかん)する場所が決まらないなど問題が多くあります。一方、火力発電に使う化石燃料にはかぎりがあります。そして、化石燃料をもやすと発生する二酸化炭素などの温室効果(こうか)ガスが地球温暖化(おんだんか)の原因(げんいん)になるとされています。

scene 06ミッション「電気をつくるアイデア」
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「電気をたくさんつくれても地球温暖化(おんだんか)の原因(げんいん)になることもあるし、発電所が一か所止まっただけで広い範囲(はんい)が停電になることもこまる…。どうしたらいいんだろう?」と地球。するとゲーム画面にミッションがあらわれました。「ん? 『電気をつくるアイデア』? なんだろう。見てみよう!」。

scene 07再生可能エネルギーへの転換
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今、世界では、大規模(きぼ)集中型発電に代わる発電システムへの転換(てんかん)が進められています。それが、再生可能(さいせいかのう)エネルギーを利用した「小規模分散型発電」です。再生可能エネルギーとは、風力、水力、太陽光など、くりかえし利用できるエネルギーのこと。これらの資源(しげん)はなくなることがなく、二酸化炭素(にさんかたんそ)を出さないので環境(かんきょう)にやさしい。世界全体の発電における再生可能エネルギーの割合(わりあい)は、2021年では約30%。これを、2050年には90%にするのが世界の目標です。

scene 08地域にあった発電
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そのため世界各国では地域(ちいき)に合った再生可能(さいせいかのう)エネルギーの導入(どうにゅう)が進められています。風の強い地域では風車で発電する「風力発電」。火山帯で地下から高熱の水蒸気(すいじょうき)がふきあげる地域では、蒸気でタービンを回して発電する「地熱発電」。そして太陽の光で発電する「太陽光発電」です。この太陽光発電を生活にうまく取り入れているのがアフリカのマサイ族。かれらの家には電気が通っていません。にもかかわらず、70%の人が携帯(けいたい)電話かスマートフォンを持っています。その充電(じゅうでん)方法が小型の太陽電池。充電くらいの電気ならこれで確保(かくほ)できるのです。

scene 09エネルギーの地産地消の試み
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日本の各地では、地元でつくった電気を地元で使うエネルギーの「地産地消(ちさんちしょう)」の試みも行われています。日本一うどん屋が多い香川県。ここでは、うどんを使った発電が行われています。売れ残ってすてざるを得なかったうどんを燃料(ねんりょう)にしているのです。うどんのほかにも、食べ残しや料理のくずなどをタンクに投入し、水とまぜ合わせて発酵(はっこう)させます。するとメタンガスが発生。それをもやしてタービンを回し、電気をつくりだします。「バイオマス発電」とよばれる方法の一つです。この装置(そうち)では、一日およそ40軒(けん)分の電気をつくりだしています。

scene 10発電所をつないで安定した電気を!~小規模分散型発電~
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また、川や水路の高低差を利用して水が流れ落ちる力を使うのが「小水力発電」。大きなダムをつくる必要がないので、環境(かんきょう)への影響(えいきょう)が少なくなります。ほかにも地元の特徴(とくちょう)を生かした地産地消の発電をしている場所がいくつもあります。こうした小さな発電所をつなぐ仕組みが小規模(きぼ)分散型発電。どこかの発電機が止まったり、発電量が落ちたりしても、助け合うことで電気を安定して送ることができ、次世代の発電システムとして注目されています。そのほか、ゆかをふむことで発電する「ゆか発電」、人の声で発電する「音力発電」などいろいろな発電のアイデアがあります。

scene 11レアカード“次世代太陽電池の生みの親”
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「うわー、発電できてる、できてる!」。地球が自転車のペダルをこいで明かりをつけています。「はぁ、はぁ、でもこれ続けるのは大変だ…」とこぐのをやめました。「電気のつくり方っていろいろあるんだね」。すると、ゲーム画面に“ガチャ”があらわれました。「あ、みんながたくさん知ってくれたから、ガチャが回せるよ」。ガチャを回してカードを1枚(まい)引くと、エネルギー問題を解決(かいけつ)するためのヒントがもらえます。「何が出るかな?」。引いたのはスーパーレアなカード、“次世代太陽電池の生みの親 宮坂力(みやさか・つとむ)さん”です。

scene 12画期的な太陽電池の開発
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太陽光発電は、2050年には全世界の発電量の3分の1をになうことが目標とされています。しかし従来(じゅうらい)の太陽電池は、光が弱いと効率(こうりつ)が落ちることや、固くて重いという弱点があります。その弱点を克服(こくふく)したのが「ペロブスカイト太陽電池」です。開発したのは、桐蔭(とういん)横浜大学の特任教授(とくにんきょうじゅ)、宮坂力さんです。この電池のいちばんの特徴(とくちょう)は、うすくて、軽くて、フィルムのように曲げられること。そして、くもりや雨の日、室内の照明など、弱い光でも発電できる画期的な太陽電池なのです。

scene 13うすくて軽くはりつけられる電池
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今から20年ほど前、宮坂さんはペロブスカイトという鉱石(こうせき)に光を電気に変える性質(せいしつ)があることを発見。光を吸収(きゅうしゅう)する力が強く、1000分の1mmといううすさでも発電できることもわかりました。ペロブスカイトは人工的に同じ構造(こうぞう)の物質(ぶっしつ)をつくることができます。さらに、材料は液状(えきじょう)にして利用できます。そこで宮坂さんは専用(せんよう)のインクジェットプリンターをつくり、インクの代わりに使うことで印刷するように太陽電池をつくる方法も開発しました。ペロブスカイト太陽電池は、窓(まど)や建物にはりつけたり身に着けたりして発電するなど、はば広い利用法が期待されています。

scene 14わたしたちにできることは?
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「へぇー、こんなにうすいもので発電できるんだ。いろいろな使い方が考えられるね」。地球がペロブスカイト太陽電池を手に取って見ています。「みんなが家や町でいろんな再生可能(さいせいかのう)エネルギーをつくって、組み合わせて、うまくためることができれば、世界中の人が電気を使えるようになるのかもしれないな」。そのとき、部屋の明かりがつきました。「あっ、もどった! あー、電気がついてるだけで、なんかものすごく安心する…」。今日も放置された地球。でも、みんなも学んでくれているから、レベルアップは近いかも!

地球は放置してても育たない
放置しないで!エネルギー問題
【目標7 エネルギーをみんなに そしてクリーンに】地球の危機を地球と一緒に考える番組。今回は安全で安定的に供給できるエネルギーについて考える。

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