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scene 01どうしてユウくんって、いつもああなんだろう
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「ハァ、どうしてユウくんって、いつもああなんだろう。あ~、また明日も話さなきゃいけないのか。いやだなぁ…」。そんなことを考えながら、ねむりにつくアイ…。

scene 02シッチャカとメッチャカ?
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「え? 何ここ?」。目がさめるとアイは知らない部屋にいました。とつぜん、「ババーン!」「ビビーン!」と何かあらわれました。「わぁっ!」とびっくりするアイ。それは、シッチャカとメッチャカと名乗る妖精(ようせい)たち。「ここはなやみをかかえた子どもがまよいこむ、ゆめの世界なの。ここに来たってことは、アイちゃん、なやみがあるんでしょ?」、「おいらたちがなやみを解決(かいけつ)するから聞かせてごらん」と言います。「ちなみに、しゃべるんじゃなくて、歌って! おいらのえんそうに合わせて、いってみよう!」。シッチャカは、「えっ、歌?」とおどろくアイにかまわずに、ピアノをひき始めました。「さん、ハイ!」。

scene 03アイのなやみは
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とまどいながらも歌い出すアイ。「♪転校生のユウくんが ちょっと変わってる子なんだ グループの話し合いでも ずっとだまっているから 『ユウくんも何か言って!』って言ったら 急に耳ふさいで無視(むし)してさ そのあと『わーわー わわーわー!』って さけびながら 出て行っちゃって あー メンドウくさい! あー! イヤになっちゃうよ!」。アイのなやみを聞いて、「ちゃんとやってくれない理由が知りたいんだね?」、「よし、こんなときはいいものがあるぜ!」と、シッチャカが何かさがし始めました。でも、「あれぇ? ない! あれがない! どこいっちゃったんだろう?」。シッチャカはかたづけが苦手なようです。それを見て「わたしも同じ! ちゃんとかたづけなきゃって思うけど、いつもモノをなくしちゃうもん」とアイも言います。

scene 04相手のココロとつながる“ココロのでんわ”
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「あ、あった!」。シッチャカが取り出したのは、“ココロのでんわ”。「真ん中のハートに手を当てながら気持ちを知りたい相手のことを思いうかべると、その人のココロとつながって何でも答えてもらえるんだ」と言います。「ふだんはうまく思いを言葉にできない人でも、心の声だから本当に思っていることを聞くことができるの」とメッチャカ。「へえー。じゃあ、なんでユウくんがちゃんと話し合いに参加してくれないのかもわかるのかな?」と言うアイに、「さっそくユウくんのココロに電話してみて」とメッチャカ。「えっと、ハートに手を当てて、もしもし…」。すると、「はい、もしもし」とユウの返事が聞こえました。

scene 05ほかの人と音の聞こえ方がちがう?
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「ユウくん? どうしてみんなが話し合ってるときにちゃんと参加してくれないの?」とアイ。「いや、ぼくだってがんばって参加したいと思ってるよ」とユウ。「うそだよ! ずっとだまってるじゃない!」とアイ。「だってさ」と言いかけるユウを、「だってじゃなくて!」とさえぎるアイ。すると、「待って待って。まぁ、ユウくんの答えも聞いてみよう」とメッチャカがなだめました。しばらくすると「ぼくだって発言したいけど、みんなの話を聞くだけでせいいっぱいなんだ。ぼくね、ほかの人と音の聞こえ方がちがうらしくて」とユウが言ったので、アイはびっくりします。「え?」。

scene 06チョークの音も人の声も
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「アイちゃんは、チョークの音ってどうやって聞こえるの?」とユウ。「え? どうって…。『コッコッ、カツカツ』。こんな感じかな」。すると、「そっか。ぼくはこんなふうに聞こえるんだ」。ユウが聞かせた音は、『ガタン、バタン! ガタン、バタン!』とすごく大きくてイヤな音でした。「えーっ!?」とアイはびっくり。「それに、人の声も…」。頭の中にひびきわたるような音です。「そこに別の人の声も聞こえると…」。頭の中にいろいろな人の声が大きな音で入りまじったりして、何も聞きとれなくなってしまうのです。「だからパニックになって、『うるさい!』ってどなったり、走ってにげちゃったりするんだ」。

scene 07ちゃんと話をしたいと思っていた
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「そうだったんだ…」とアイ。「ぼくだってさ、ちゃんと話をしたいと思ってるんだ。けど、昔から、みんなと同じようにしようとしてもうまくできなくって…。前の学校でも、話したかったけど声がうるさくてなかなか近づけなくて、だんだん『あいつ、変だ』って、みんなから…」とユウが言います。「ユウくん、ちゃんとやりたいと思ってたんだな」とシッチャカ。メッチャカも「何回も失敗するうちに、発言するのがもっと苦手になっちゃったのかもね」と言います。「そうか。今までユウくんに『ちゃんとやって』って言って、悪いことしちゃったかな」とアイ。「うーん」。三人が考えこむと…。

scene 08みんなちがうけど、みんなおなじ
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そこにとつぜん、「なるほどねー!」という声がして、テレビのスイッチが入りました。「どもー。ジローはかせじゃ」と男の人が画面にあらわれました。「ユウくんのように、人と話すのが苦手な子は、実はいっぱいおるんじゃぞ。ただし、理由は人それぞれ。音の聞こえ方がちがう子もいれば、すごくつかれやすくて話をするとすぐに頭がいたくなってしまう子や、話をおぼえるのが苦手で会話についていけない子もいる」と言います。「しかーし! “人間”という大きなくくりの中で見たら、ユウくんもアイちゃんも、みんなおんなじじゃ、『みんなちがうけど、みんなおなじ』。さらばじゃ!」。そう言うとジローはかせは消えました。

scene 09どうするのがいちばんいいのかな?
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「みんなちがうけど、みんなおなじ」とつぶやくアイ。「どう? なやみは解決(かいけつ)できた?」と聞かれ、「ユウくんの事情(じじょう)を知って、わたしと同じように苦手なことがあるんだなって思ったのは、よかった。けど、ユウくんがまただまっちゃったらどうするのがいちばんいいのかわからなくて…」と考えるアイ。「そういうときはさ、ほっとけばいいじゃん」とシッチャカ。「それはかわいそうじゃない? 聞こえづらいからこそ、『ユウくんはどう思う?』ってくりかえし声かけたほうが意見を言いやすいよ」とメッチャカ。「アイちゃんはどう思う?」と聞かれ、「え? えっと…」と答えにつまりながら、アイはいっしょうけんめい考えます。

scene 10「ユウくんの意見、待ってみよう」
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現実(げんじつ)の世界に帰ってきたアイ。学校で、みんなが話し合っているなか、うつむいているユウ。「ちょっと、ユウくんも意見言ってよ!」と男子がおこって言いました。「そうそう。いつもだまってばっかでさ。ちゃんとやってよ!」とほかの子も言います。聞いていたアイは、「よし!」と心を決めて、みんなに「ねえねえ、いっぺんにしゃべってもわかんないよ。ユウくんの意見、待ってみよう」と言いました。「どう?」とユウに聞くアイ。するとユウは、「えっと、ぼくは…」とゆっくり自分の意見を言い始めたのでした。

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ちゃんとやって!
アイの悩みは「転校生のユウくんが話し合いをちゃんとしてくれない」こと。妖精たちのフシギな道具を使うと、ユウくんの意外な事情が明らかになって…