(オープニングタイトル)
『全世界体育首脳会議(しゅのうかいぎ)』の会場。「では次は…、博士博士(はくし・ひろし)博士(はかせ)」と議長(ぎちょう)が言いました。博士が発表します。「は、はい! えー、体育の活動をもっと広めるために、『体育の日』を年に一回から、月に一回に…、一家に一台鉄棒(てつぼう)を配り…、学校の授業(じゅぎょう)は全部体育に…」。みんなは「そんなのむりだろ」「むちゃくちゃだよ」「ハードル高いな」と口々に言います。議長も、「これ全部むずかしいよ。ハードルが高すぎるなぁ」と言いました。「ハ、ハードル? 体育ノ介! さっそく、今日のミッション。ハードル走に挑戦(ちょうせん)だ!」。
「ハードル走、実行!」。トラックを走り出す体育ノ介。しかし体育ノ介、スピードに乗れず、ハードルに引っかかりそうでうまくとべません。とうとう足を引っかけて転んでしまいました。何度もチャレンジしますが、できません。
「なぜだ? なぜなのだ?」。博士がパソコンで調べると、『体育ノ介の足の速さは時速5km もっとがんばりましょう』と出ました。「ほぼ歩いているスピードじゃ。これではスピードがおそすぎる。ようし。もっと速く美しく、ハードルをとびこえる方法(ほうほう)をプログラミングじゃ」。パソコンで検索(けんさく)してさがします。「お、井村久美子(いむら・くみこ)さん。2008年、北京オリンピックに走りはばとびで出場。100mハードルでは日本歴代(れきだい)2位の記録(きろく)を持つスプリンターじゃ。井村さんにおねがいしよう! さっそく、井村さんのハードル走のデータ、ダウンロード!」。
井村久美子さんの、ハードル走のお手本です。「ハードル走が、『できるポイント』。ふみきりに向け、スピードを上げる!」。
「次のハードルまでは、イチ、ニ、サン! テンポよく3歩で!」。
「ふみきりはハードルの遠くから! 上体を前にたおしながら、うでを前に出す。さらに、足も前につき出す!」。
「うしろ足はひざを曲げ、横にしてぬく!」。
つづいて、体育ノ介の『できないポイント』分析(ぶんせき)です。「ハードル走が、『できないポイント』。小また走りになり、スピードが上がっていない! ふみきる足が、ハードルに近すぎる!」。
「上体が前にたおれていない! うでが前にのびていない! さらに、足を前につき出していない! うしろ足が横になっていない! これではハードルに引っかかってしまう」。ここで、博士は体育ノ介に『できるポイント』をインストールしました。
ハードル走ができるポイントをチェック。「ふみきりに向け、スピードを上げる。完了(かんりょう)! 次のハードルまでは、イチ、ニ、サン、テンポよく3歩で。完了! ふみきりはハードルの遠くから。完了! 上体を前にたおしながら、うでを前に出す。さらに、足を前につき出す。完了! うしろ足はひざを曲げ、横にしてぬく。完了! 高いハードルをこえたのう…。みごとじゃ、体育ノ介!」。
井村さんが教えてくれる、ハードル走のコツ。「ハードルは、目の前に高いものがあると、とべないというふうに思いがちになるんですが、ハードルをとびこえた達成感(たっせいかん)をイメージして、ぜひ、楽しくチャレンジしてみてください。ハードルをとぶことはとても楽しいので」(井村さん)。
みんなもやってみましょう。ポイントが多いハードル走。どこを撮(と)って研究したらいいか、今日はいっしょに考えてみましょう。ふみきり足を撮るのにいちばん効果的(こうかてき)な場所をさがすのです。意見が分かれたときは、アスリートの映像(えいぞう)を参考(さんこう)にしましょう。お手本を見習って、横から撮ってみましょう。足が引っかかりました。映像を見ると、ふみきるところが遠すぎることがわかりました。「なるほど! いいぞ、みんな。その調子じゃ!」。ところで、ハードルのような障害物競走(しょうがいぶつきょうそう)はどのようにして生まれたのでしょう。
ハードルの歴史(れきし)。それは中世ヨーロッパにさかのぼります。貴族(きぞく)たちは馬に乗り、小川や柵(さく)など障害物(しょうがいぶつ)をとびこえ、乗馬を楽しんでいました。一方、馬に乗れない人たちは、自らの足で野山をかけ、障害物をとびこえて楽しみました。「なんとも、はりきり元気ピープルじゃのう」。そして19世紀になると、野山ではなく、競技場(きょうぎじょう)の中で障害物をとびこえる競技、つまり『ハードル走』が確立(かくりつ)したのです。「馬なんて使わなくたっていい。とびこえることは楽しいのじゃ。いやっほう!」。