(オープニングタイトル)
ここは撮影(さつえい)スタジオ。「なな、なんと! またしても体育ノ介に映画出演(えいがしゅつえん)のオファーが!」。博士が興奮(こうふん)しています。タイトルは『もっと燃(も)えよ火』。台本には、体育ノ介の出番は「かっこよくタンタッターンと走って、バシーンととんで、バーンと着地する」とあります。監督(かんとく)が、「すごく重大な役だ、体育ノ介。カッコよく走ってきて、カッコよくジャンプして、着地するんだ」と言いました。「走って、とんで、着地…。走り幅(はば)とびだ! 体育ノ介! さっそく今日のミッション。走り幅とびに挑戦(ちょうせん)だ!」。
「走り幅(はば)とび、実行!」。トラックを走り出し、思いっきりジャンプ! しかし体育ノ介、ほんのちょっとしかとべません。すぐに着地してしりもちをついてしまいました。
「記録(きろく)は…1m20cm。短すぎる! これではまるで、立ち幅(はば)とびじゃ。もっと遠くにとべる走り幅とびの技(わざ)を大至急(だいしきゅう)プログラミングせねば。何かいいお手本は…」。博士が窓(まど)の外を見て考えていると、井村久美子(いむら・くみこ)さんがあらわれました。2008年、北京オリンピックに出場した、走り幅とび日本記録保持者(ほじしゃ)の井村久美子さんです。「井村さんにおねがいします! さっそく、井村さんの走り幅とびのデータ、ダウンロード!」。
井村久美子さんの、走り幅(はば)とびのお手本です。「走り幅とびが、『できるポイント』。ふみきりに向けて、スピードを上げる! 足のうら全体で、力強くふみきる!」。
「目の方向は、水平よりやや上! ジャンプしながら、大きくバンザイ!」。
「うでを大きくふり下ろしながら、着地!」。
つづいて、体育ノ介の『できないポイント』分析(ぶんせき)です。「走り幅(はば)とびが、『できないポイント』。小また走りになり、スピードが上がっておらん! ふみきるとき、地面を見ておる!」。
「バンザイができておらん! うでを使えておらん!」。ここで、博士は体育ノ介に『できるポイント』をインストールしました。
走り幅(はば)とびができるポイントをチェック。「ふみきりに向け、スピードを上げる。完了(かんりょう)! 足のうら全体で、力強くふみきる。完了! 目の方向は水平よりやや上。完了! ジャンプしながら、大きくバンザイ。完了! うでを大きくふり下ろしながら着地。完了! とべ、とべ、とべ、とんでくれぇ…、とんだぁ! 3m70cm。うれしいか、体育ノ介!」。
井村さんが教えてくれる、走り幅(はば)とびのコツ。「走り幅とびのポイントは、ふみきり直前の“タタタン”の“タン”のところで、ボールがはずむようなイメージで、気持ちよく空中にとんでいきましょう。そうすると、鳥のようになった気持ちでとべるようになります」(井村さん)。
みんなもやってみましょう。今日はお手本と自分の動きをくらべてみます。自分たちの走り幅(はば)とびの様子を撮影(さつえい)し、2台のタブレットをならべて、お手本の映像(えいぞう)とくらべます。「目が下を向いちゃってる」(男子)。「ジャンプしたら手を上げるのわすれちゃった」(男子)。ふみきる足が両足の子もいました。「こうして比較(ひかく)してみると一目瞭然(いちもくりょうぜん)じゃ。とる人もとられる人も、みんな、がんばるのじゃ!」。
紀元前9世紀、古代ギリシャで行われていた古代オリンピック。この時代、走り幅(はば)とびは花形競技(きょうぎ)としてたいへん人気がありました。なんと、選手(せんしゅ)は全員はだか。さらに、石などで作られた『ハルテーレス』というおもりを両手に持ってとんでいました。おもりをふり上げて、そのいきおいで、より遠くへとべたようです。「競技はふえの音(ね)に合わせて行われたといわれておる。どんな音色だったのか、きいてみたいのう、体育ノ介よ…」。