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花 武島羽衣(たけしま はごろも) 作詞 滝廉太郎(たき れんたろう) 作曲 和田薫(わだ かおる) 編曲
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東京 隅田川(すみだがわ)
江戸(えど)時代から この川は
庶民(しょみん)のいこいの場として愛されてきた
隅田公園(台東区)には 作詞者
武島羽衣(たけしま はごろも)(1872-1967)自筆の歌碑(かひ)がある
当時の隅田川では ボート競技が
盛んに行われていた
花見とボート競技の見物客で
春はにぎわっていたという
そんな春の隅田川の情景を
名文家と名高(なだか)い羽衣が描(か)いた
彼(かれ)は当時28歳(さい)
東京音楽学校で教(きょう)べんをとっていた
そして曲をつけたのが
同僚(どうりょう)の滝廉太郎(たき れんたろう)(1879-1903)である
組歌「四季」の第一曲として
明治33年に発表されたこの歌は
廉太郎20歳の作品であり その後の
日本の歌の歴史を変える傑作(けっさく)といわれる
当時 合唱に関心があった廉太郎は
この「花」で合唱曲に挑戦(ちょうせん)している
女声(じょせい)二部のために書かれた「花」は
その美しさ 歌いやすさで人々を魅了(みりょう)した
川辺にたたずめば いにしえから現在までの
東京の姿を感じることができる
時代は変わっても 隅田川の流れと
美しい花の景色は変わらない
羽衣と廉太郎 若いふたりの息吹(いぶき)が
吹(ふ)き込(こ)まれた「花」
げに一刻(いっこく)も 千金(せんきん)の眺(なが)めを何にたとうべき
春の隅田川を謳(うた)ったこの曲は
今も変わらず人々を魅了し続けている