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水辺を浄化する ユスリカ

ミクロワールド 水辺を浄化する ユスリカ オープニング

ミクロワールド 水辺を浄化する ユスリカ オープニング

「蚊柱」を作るユスリカのオス

小さな虫がひとかたまりになって飛んでいます。夕方や早朝に見かける「蚊柱(かばしら)」です。この蚊柱を作っているのは、実は蚊ではありません。別の昆虫、ユスリカです。ウスイロユスリカのオス。蚊柱を作っているのは、このオスだけです。メスは、蚊柱を見つけると飛び込み、オスと交尾をします。成虫の寿命は、わずか3日ほど。その間何も食べずに、子孫を残すことに専念します。

体長1mmの幼虫の大きな役割

メスが産んだ卵は、水面近くに見ることができます。水の中に立つ杭(くい)についているゼリー状のもの。この中に卵が産みつけられています。1匹のメスが産む卵の数は、およそ600個。2、3日で孵化(ふか)して、幼虫になります。幼虫の体の長さは、およそ1mm。実はこの幼虫が、汚れた水をきれいにすることに大きな役割を果たしているのです。

体をゆするような動きから

その様子を見ていきましょう。水の底で生活を始めた、ウスイロユスリカの幼虫。幼虫は、泥で筒状の巣を作ります。体の長さは、1cmほどになりました。さかんに体をゆする動作、そして、成虫が蚊に似ていることから、「揺すり蚊」と名づけられました。この動きで水の流れを作り、巣の奥へ酸素を運んでいると考えられています。

泥を食べ続ける幼虫

幼虫の赤い色は、皮膚の色ではありません。私たちヒトの血液と同じ「ヘモグロビン」という色素を体液の中にもっているため、赤く見えるのです。ヘモグロビンは、水に溶けているわずかな酸素でも取り入れることができます。幼虫は水中で呼吸するためのエラをおしりの先に持っています。幼虫は泥をひたすら食べ続けます。泥の中には、生物の死骸(しがい)や微生物など、水を汚す原因となるさまざまな有機物が堆積(たいせき)しています。幼虫はそのような有機物を食べて栄養にしているのです。

有機物を食べ、水を浄化する

さなぎになったユスリカが、水面へ浮かび上がってきました。「羽化(うか)」です。水面で、次から次へと成虫になります。大量の幼虫が水の底で有機物を食べ、成虫になると水の外へ飛び立ちます。こうしてユスリカは、汚れた水を浄化する役割を担っているのです。