あらすじ一覧

オープニング

オープニングタイトル

scene 01今日のテーマ「書く」

ケッチ!が、びっくりするほどながーい手で字を書いてる! 「書」という字だね。なかなかよく書けてる。つづいて、「く」も書こうとしたけど、ぎゃくに書いてしまったのて、「>」みたいになってしまった。おしい! ということで、今日のテーマは、「書く」。

scene 02故事成語「推敲」

書くときに使おう、故事成語(こじせいご)「推敲(すいこう)」。マサキくんが手紙を書いています。マサキ:ぼくがころんでリレーにまけちゃったとき、ミワちゃんは何も言わずにバンソウコウをさし出してくれた。この手紙で、大すきだってことつたわるかなぁ。読み直してみよう。『ぼくは、ばんそうこうをもらったとき、ミワちゃんは「やさしいなあ」と思いました』。まてよ、やさしいだけじゃないんだな。そうだ、『ミワちゃんは「かっこいいなあ」と思いました』としよう。

scene 03やさしい? かっこいい?

マサキ:うん、「かっこいい」のほうが、だまってバンソウコウをくれたミワちゃんにぴったり! でも「やさしい」のほうが、なぐさめてくれたミワちゃんにぴったり? いや、「かっこいい」のほうが、あこがれの存在(そんざい)って感じがつたわるな。でもやっぱり「やさしい」? いや「かっこいい」? やさしい? かっこいい?…。ミワちゃんの心にひびくのはどっちなんだ? ウーンウーン・・・。これぞまさしく、「推敲」。

scene 04「推敲」のはじまり

「推敲」のはじまり。それは今からおよそ1200年前、唐(とう)の時代の中国。唐の都、長安(ちょうあん)にやってきた詩人の賈島(かとう)は、ロバに乗りながら詩を作っていた。「『僧(そう)は推(お)す月下の門』。僧侶(そうりょ)が月にてらされた門を推す。なかなかいいなぁ」。ところが、「門を『推す』より『敲(たた)く』のほうがいい気がする。音がしたほうが、しずけさがきわだつかなぁ」。賈島は「推す」か「敲く」か、考えつづけた。ここから、よりよい言葉をさがし求めることを「推敲する」というようになった。

scene 05文章を何度も練り直すこと

考えつづけていた賈島、えらい役人の行列に出くわした。ドシーンッ。「何やってるんだ!」。「おゆるしください」。さわぎを聞いて出てきた役人とは、韓愈(かんゆ)。有名な詩人でもあった。賈島は、「推す」か「敲く」か、なやんでいたことを説明(せつめい)した。すると、「なるほど。それは『敲く』のほうがよいであろう」と韓愈は言った。「推敲」とは、詩や文章を作るとき、何度も考え、練り直すことをいいます。よい文章にしあげるためには、細かい点まで注意をはらうことがかかせません。

scene 06こんなときにも「推敲」

読書感想文を書いているテツロウくんの場合。先生「書けた人は推敲してください。よーく見直すんですよ」。テツロウ「ん? 『竜宮城(りゅうぐうじょう)にカメに連(つ)れられました』、なんかへんだぞ。それに、『太郎が行ったので、お姫様はよろこんだので、みんな楽しんだので…』、『ので』がつづいてわかりにくい。あ、漢字がまちがってる! おかしな文章、読みにくいところ、字のまちがい…。もっとわかりやすくしないと、ウーーーン」。『テツロウは、感想文の推敲を重ねた』。よい文章を書くためには、「推敲」。

scene 07書くことわざ「弘法筆を選ばず」

弘法(こうぼう)とは、今からおよそ1200年前にいたお坊(ぼう)さん、弘法大師(こうぼうだいし)空海(くうかい)のこと。空海は書道の達人(たつじん)で、筆の良し悪し(よしあし)にこだわらず文字を書いたことから、「弘法筆を選(えら)ばず」…本当に上手な人はどんな道具を使ってもよい仕事をする、という意味のことわざができたのです。それを実践(じっせん)しているのが、書家(しょか)の柿沼康二(かきぬま・こうじ)さん。日本だけでなく海外でも作品を発表している、世界的(てき)に有名な人です。

scene 08「筆じゃなきゃいけないのか?」

柿沼さんは、なんと、麻(あさ)ひもで作った筆でもりっぱに文字が書けるのだそうです。まさに「弘法筆を選ばず」。でもなぜ麻ひもで書き始めたのでしょう。実はこんなきっかけがありました。ある日のこと、柿沼さんはおおぜいの人の前で文字を書くことになりました。ところが、直前に大事な筆がおれてしまったのです。そのとき柿沼さんはこう思いました。「筆じゃなきゃいけないのか?」。このことがきっかけで、柿沼さんは水鉄砲(みずでっぽう)や毛糸、たわしなど、さまざまな道具で文字を書くようになったのです。

scene 09大切なのは気持ちをこめて書くこと

書くことに対する冒険(ぼうけん)心。それは、書家であるお父さんのえいきょうもありました。とくに心にのこっているのは、父親が大きな筆で「生」という字を書いていたときのこと。「これは木の幹(みき)を表す!」とか、「これが命なる柱なんだ!」と言いながら書いていたそうです。「字を書いているけど、字を超越(ちょうえつ)していると感じた」という柿沼さん。文字を書くには道具より大切なものがあると考えています。「道具も大切だけど、いちばん大切なのは『気持ち』をこめて書くこと」(柿沼さん)。

scene 10「書く」のことわざ仲間

「弘法も筆のあやまり」――書道の達人(たつじん)、弘法大師 空海でも、たまにはまちがえてしまうことも・・・。どんな名人でもたまにはまちがえる、という意味のことわざ。使い方:クラスでいちばんなわとびの上手なケンタくんが、一回でつまずいた。弘法も筆のあやまり、だね。

scene 11和歌

「春過(す)ぎて 夏きたるらし 白たへの 衣(ころも)ほしたり 天(あめ)の香具山(かぐやま)」。これは、およそ1300年前に、持統(じとう)天皇がよんだ歌です。夏になると白い衣をほす風習のあった香具山。新しい季節(きせつ)におどる心を歌ったといわれています。

scene 12日本語いろいろ

『書く』ときに使う「手」。今日は、その「手」に関係(かんけい)することばを見てみよう。「つかむ」と「にぎる」。にていることばですが、ちがいがわかるかな。ヒントは、手の形。「つかむ」は、手でしっかりとらえて持つときの形。「にぎる」は、手のひらをとじて、たもち持つときの形だ。

scene 13つかむ?にぎる?クイズ

あるところに、二人の男がいた。『つかむ男』と、『にぎる男』。二人といっしょに「つかむ」と「にぎる」、どっちがあてはまるのか、クイズに挑戦しよう!
(1)「溺(おぼ)れるものは藁(わら)をも○○○」。これは、「つかむ」が正解(せいかい)。せっぱつまったときには藁のようにたよりないものにもすがりたい、という意味です。
(2)「手に汗(あせ)を○○○」。これは、「にぎる」が正解。使い方は、「はらはらどきどきするテレビドラマを見ていたら、手に汗をにぎっちゃった」。

scene 14「つかむ」と「にぎる」をさがしてみよう

(1)「彼女(かのじょ)の心を○○○」? 正解(せいかい)は、「つかむ」。
(2)「成功(せいこう)のカギを○○○」? 正解は、「にぎる」。
(3)「○○○めし」は? 実際に試してみよう。『つかむ男』はめしをつかもうとした。でも、ぼろぼろこぼれてめしはつかめない。一方、『にぎる男』は、にぎにぎ、にぎにぎ。おいしそうなにぎりめしができた。正解は、「にぎる」。「にぎりめし」というね。
「つかむ」と「にぎる」、どんなときに使うのか、みんなもさがしてみよう!