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タイヤが残した証拠を解読せよ ~円周率~

オープニング

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タイヤが残した証拠を解読せよ ~円周率

女の人が歩いていると、とつぜん、うしろから来た自転車の男がバッグをひったくっていきました。「だれか! わたしのバッグ~!」…。しばらくして、ゼロとイチが現場(げんば)で女の人に話を聞いています。「うしろから自転車が来てわたしのバッグを…。この道を真っ直ぐにげていきました」。すぐそばに『ペンキぬりたて!』のはり紙のあるベンチがあります。道の上には白いペンキのあとが点々と続いていました。点と点のあいだの長さをはかるとすべて110cmです。「同じ間隔(かんかく)か。これで犯人(はんにん)がわかるかもしれないぞ」とゼロ。

scene 02犯人の自転車のタイヤは円周110cm

「これで本当に犯人(はんにん)がわかるんですか?」。さんすう課でイチが、現場(げんば)に残された白いペンキあとの写真を見ています。「よく見てろ」。ゼロが、ラジコン自動車のタイヤの1か所に赤い絵具をつけて紙の上を走らせました。紙の上には現場の白い点とそっくりに、同じ間隔(かんかく)で赤い点が残りました。「犯人の自転車のタイヤに白いペンキがついてたんですね」とイチ。点と点のあいだの長さはタイヤが一回転したときの長さ。つまり、円周です。「犯人は円周が110cmのタイヤの自転車に乗っていたということか」とイチ。

scene 03円周は直径のおよそ3.14倍

「でも、円周が110cmって、どれくらいの大きさのタイヤなんですかね」。イチがそう言うと、「タイヤの直径がわかれば想像(そうぞう)しやすいぞ。イチ、このおぼんの直径をはかってみろ」と、ゼロがおぼんをわたしました。はかってみると直径は30cmです。円周もはかると94.3cmでした。「では、円周は直径の何倍だ?」とゼロ。「何倍かを求めるには、円周を直径でわればいいから、94.3÷30=およそ3.14です」とイチ。するとゼロが、「ほかのものでも試してみよう」と言いました。

scene 04円周率3.14を使えば…

丸いものをいろいろはかってみると…。「どんな円でも円周は直径のおよそ3.14倍になっている。この3.14を『円周率(りつ)』というんだ。円周率を使えば犯人(はんにん)のタイヤの直径を求めることができる」とゼロ。直径は、タイヤの円周110cmを円周率3.14でわって、およそ35cmでした。そこへ、主任(しゅにん)からの指令です。「ゼロ、イチ。犯行時刻(はんこうじこく)に現場(げんば)付近を自転車で通った人がわかったわ。自転車店の円井周治(まるい・しゅうじ)と、ホームセンターの山田タカシよ。二人の自転車を調べてみて。タイヤの直径が35cmのほうが犯人よ!」。

scene 05被害者と夫婦だった

自転車店にやってきたゼロとイチは、店主の円井がいつも乗っている自転車のタイヤの直径をはからせてもらいました。直径は70cm。犯人(はんにん)の自転車ではないようです。するとそこへ、「ちょっと刑事(けいじ)さん! うちのだんながわたしのバッグをひったくるわけないでしょう!」と女の人が出てきました。それは、ひったくりの被害者(ひがいしゃ)の女の人でした。店主の円井と夫婦(ふうふ)だったのです。あわてて、「失礼しました」とあやまるゼロです。

scene 06自転車は一週間前からパンクしていた

続いてゼロとイチは、ホームセンターに店長の山田をたずねました。山田の自転車「山田1号」のタイヤの直径は、35cm。犯人(はんにん)の自転車のタイヤと同じです。しかもタイヤには白いペンキがついていました。「こんなペンキ、知りませんよ!」と言う山田。山田は、犯行のあった日たしかに自転車にはのったけれど、山田1号ではなくてもう一台の自転車「山田2号」だと言います。そのわけは、山田1号が一週間前からパンクしていたからでした。たしかにパンクしていて、これでは乗れそうにありません。

scene 07円周に2か所のマーク?

「一体だれが犯人(はんにん)なんだろう…」。「あきらめない、あきらめない。必ずどこかにヒントがあるはずだ」。ゼロとイチが自転車売り場を通りかかると、商品を運んできた店員が台車をたおしてしまい、トイレットペーパーがころころとゆかの上にころがりました。ペーパーには『ホームセンター やすい!』というマークが同じ間隔(かんかく)でついています。トイレットペーパーを手に取ってみたゼロは、あることに気がつきました。円周に2か所、マークがついていたのです。「なるほど! 犯人がわかったぞ!」。

scene 08タイヤの2か所にペンキを

「円井周治さん、あなたが犯人(はんにん)だったんですね」。ゼロが円井に言いました。犯行現場(はんこうげんば)に残されていた白い点と点の間隔(かんかく)は110cmでした。「ぼくの自転車の直径は70cmだ。70×3.14で、円周はおよそ220cm。110cmにはならないぞ!」と円井。ゼロは、「ええ、このままではね。しかしこうするとどうでしょう」と言うと、円井の自転車のタイヤの2か所にペンキをつけました。円周の反対側にも白い点をつけたのです。自転車を動かしてみると白い点の間隔は110cm。犯行時の白い点と同じになりました。

scene 09直径を半分に見せるトリック

ゼロがタブレットで説明します。「たしかにあなたの直径70cmのタイヤの円周は、およそ220cmです。しかし円周がちょうど半分になるように白い点を二つつけて回転させると、220cmの半分の110cm間隔(かんかく)の点がつきます。これは直径70cmの半分、35cmのタイヤの円周と同じ長さなんです。あなたはこのトリックを使って山田タカシさんを犯人(はんにん)に仕立て上げようとした!」。ゼロにそう言われて言葉につまる円井。

scene 10犯罪で丸くおさまることなどない

円井とその妻(つま)はこっそりホームセンターの事務所(じむしょ)にしのびこみ、「山田1号」のタイヤに白いペンキをぬったのでした。「店長の山田が警察(けいさつ)につかまったといううわさが流れれば、ホームセンターにとられた客がもどってくると思ったんだよ! ぼくはただ、店と家族を守りたかったんだ…」と円井。「周囲の人に罪(つみ)を着せて、大切なものが守れますか。犯罪(はんざい)で丸くおさまることなどないんです」とゼロが円井に言いました。