あらすじ一覧

夜に出歩くと…

scene 01 女の子三人で夜のお祭りへ

日が落ちてうす暗くなった道を、ゆかたすがたのウタ(11歳)がやってきました。おじぞうさんのところでイオリと待ち合わせです。これから神社のお祭りに行くのです。神社でミズキと合流し、神社の片すみでおしゃべりしている三人。するとミズキが、「ねえねえ、あれユウカちゃんだよね」と言いました。見ると、同じ学年のユウカが一人でお祭りに来ていました。イヤリングをつけたりして、ウタたちよりぐっと大人びたかっこうです。ユウカは、夜一人で歩いていたり、中学生といっしょに遊んでいたりするのがうわさになっている子です。ユウカと目が合ってドキッとするウタ。ユウカは目をそらすと行ってしまいました。

scene 02焼きそば、かき氷、水風船...

スマホを取り出して見たイオリが、「そろそろ帰ろ。お母さんとも約束してるし」と言いました。「えー、まだみんないるし、もうちょっとだけいようよー」と、ウタはイオリとミズキをたくさんならんだ屋台のほうに引っぱっていきます。それから三人は、焼きそばを食べたり、かき氷を食べたり、水風船つりをしたりと、目いっぱいお祭りを楽しみました。そして...。

scene 03 夜道に男の人が立っている...

三人が夜道を帰っていきます。分かれ道で、「じゃあ、あたしこっちだから」とミズキが帰っていきました。「おそくなって、おこられちゃうかな」とイオリ。暗い夜道に二人だけで急に心細くなってきました。「大通りから行こうか」と言うイオリにウタは、「でも、遠回りだよ」と言います。「だいじょうぶだよ、二人だし」。ところが、前方に男の人がじっと立っていました。ほかにはだれもおらず、こわくなる二人。すると、「あ、わすれもの!ほら、わすれものしちゃった」とイオリはウタの手を引っぱってもどろうとします。そのとき男の人が変なさけび声を上げたので、「キャアアアア!」と二人はにげ出しました。

scene 04 道がわからなくなってしまった

必死で走り続けるウタとイオリ。ゴミすて場から「かわいいね」と声をかけてくる男の人。木の下でだきあいながら「何見てんの」と言う男女。車の中から「こっちへおいで」と言う男の人。現実(げんじつ)なのかどうかわからないまま、こわくて二人は走り続けます。すると、「待って!ちょっと待って!」と、イオリは足をいためてうずくまってしまいました。「だいじょうぶだよ。がんばろう!」と言うウタに、「ここどこ?ウタちゃん、道わかってる?」とイオリ。「えっ...。わかんない」と答えるウタ。夜道をあちこち走っているあいだに迷子(まいご)になってしまったのです。「スマホ持ってるよね。お母さんに言って!」とウタが言いますが、「でも、おこられる...」とためらうイオリ。

scene 05 一人残されたイオリ

そのとき、「あれ?何やってるの?」という声がしました。おどろいてふりむくと、ユウカでした。道にまよったみたいだとウタが言うと、「送っていこうか」と言ってくれました。ホッとしてユウカについていく二人。すると、「ユウカ!」とよぶ声がしました。見ると、公園で中学生たちが花火をしています。手をふるユウカ。「花火?」とウタが聞くと、「ちょっと見てく?」とユウカが言います。「でも、もうおそいし...」とイオリが言うのに、ウタは「うん、見ようかな...」と言いました。「えっ?」とおどろくイオリ。「イオリちゃん。ここまっすぐ行くと大通りだから」とユウカが言い、イオリは一人取り残されます。

scene 06夜道を歩きながらのスマホ

一人で夜道を帰っていくイオリ。お母さんにLINEでメッセージを送ります。『おそくなってごめんなさい。今帰ってるとこ』とイオリ。『よかった!心配した!』とお母さん。ホッとしてスマホを見ながら歩いていくイオリ。道の暗がりに男が立っているのに気がつきません...。一方、花火を見ているウタは、少しも楽しくありません。はしゃいで走り回ってさわいでいる中学生たち。でもウタには何がおもしろいのかわかりません。そのうちにけんかも始まったようです。ますますいやな気持ちになってうつむいてしまうウタ。

scene 07 とつぜんうしろから!

イオリがLINEでお母さんに、ウタは花火を見に行って自分は一人だと伝えると、『むかえにいく。今どこ?』とお母さん。イオリが『おじぞうさんのとこ。もうちょっとだからだいじょう...』と打ちかけたとき、うしろからのびてきた手がとつぜんイオリのかたをつかみました。暗がりにいた男です。男はイオリの口をふさぎ、だきかかえて連れていこうとします。イオリは男の指に思いっきりかみつきました。「いたいっ!いてて!」いたさのあまり手をはなしてうずくまる男。「キャアアアアッ!」と、そのすきにイオリはかけだしました。げたがぬげてはだしのまま、おそろしさに顔をゆがめて走り続けるイオリ...。