あらすじ一覧

「カチカチ山」裁判

Scene01 裁判の被告人はウサギ

とある法廷で、裁判員裁判が始まりました。裁判員に選ばれた高原聡子は、ほかの裁判員とともに、このちょっとフシギな裁判の判決を考えなくてはなりません。裁かれる被告人は、ウサギ。タヌキを殺そうとした罪に問われています。

Scene02 今回の裁判の争点は?

ウサギが犯したとされる罪を、検察官が述べます。ウサギは、親代わりだったおばあさんを殺したタヌキへの敵討ちを決意。タヌキの背負った焚き木に火をつけました。さらに、大火傷の背中にトウガラシ味噌を塗りつけ苦痛を与え、ドロ舟に乗せて池に沈めようとしたというのです。ウサギは、その罪を認めました。普通であれば刑務所行きです。しかし、弁護人は「ウサギには同情の余地がある」として“執行猶予”を求めました。執行猶予とは、刑務所には行かずに、今の生活の中で反省させ更生する機会を与えるというものです。タヌキを殺そうとしたウサギを、執行猶予にしてもいいのでしょうか?

Scene03 証人尋問・タヌキ

検察官は、ウサギに殺されそうになったタヌキを証人に呼びました。タヌキは、おばあさん殺しの罪ですでに刑務所に入っています。まずは、検察官が質問します。タヌキは、ウサギに火を放たれ、トウガラシ味噌を塗られて、気を失うほどの苦痛を味わいました。そして、池に沈められそうになった時には、舟のオールで何度も頭を叩かれました。
続いて、弁護人が質問します。弁護人は、タヌキがおばあさんを殺して逃げ続けていたことが、ウサギを犯行に走らせた原因だと主張します。

Scene04 証人尋問・おじいさん

弁護人が証人に呼んだのは、おじいさん。亡くなったおばあさんといっしょに、ウサギのことをわが子のようにかわいがっていました。おじいさんは、ウサギとおばあさんが、とても仲が良かったことを話します。そして「自分がしっかり監督するので、刑務所に入れるまでもない」と訴えます。
検察官は、ウサギがタヌキへの敵討ちを計画していることに全く気付かなかったおじいさんに、今後ウサギをちゃんと監督できるのか、疑問を投げかけます。

Scene05 被告人質問・ウサギ

いよいよ被告人・ウサギへの質問です。まずは弁護人が質問します。ウサギは、おばあさんのことをどれほど好きだったか、おばあさんを失って胸が張り裂けるほど悲しい思いをしたことを語っていきます。弁護人はウサギに聞きます。「敵討ちが失敗に終わって悲しくなかったのか?」。ウサギは「タヌキを殺さずに済んでホッとした。おばあさんは、敵討ちなんかしても喜んでくれないと気付いた」と答えました。
検察側は「タヌキを殺さずに済んでホッとした」というウサギの言葉に疑問を投げかけます。「今度、どこかでタヌキと、ばったり出会ったらどうする?」この質問に、ウサギは答えられなくなってしまいました。ウサギは、再びタヌキを襲う可能性があるということなのでしょうか?

Scene06 最終弁論

最後に、検察官と弁護人がお互いの意見を述べ合います。検察官は言います。「殺意を持って何度もタヌキを痛めつけたウサギの行為に同情の余地はなく、反省もしていない。再犯の可能性もあるので、刑務所に入れるべきだ」と。
一方、弁護人は「ウサギが犯行に及んだのは、大好きなおばあさんを殺された怒りと無念だ。十分反省しているし、再犯の可能性もない。おじいさんの元で、おばあさんのことを思いながら罪と向き合うべきだ」と主張します。
ウサギを刑務所に入れるか?それとも執行猶予にするか?どっちにすればいいのでしょうか?