長女が児童相談所に保護され、加害者更生プログラムに通う会社員
40代の会社員のコウタさん(仮名)は中学から保育園まで3人の子どもがいる。10年以上にわたり虐待を繰り返し、去年、小学生の長女が児童相談所に保護された。家族と別居中で加害者更生プログラムに通っている。
言うことを聞かないとげんこつや蹴り「痛い思いをして分からせる。しつけです」
例えば子どもに部屋を片づけろと言っても片づけないときは、げんこつで頭を殴ったり、蹴りを入れたりし、衝動が抑えられなかった。「悪いことをしたら痛い思いをして分からせる。しつけです」
暴力が1年のうちに350日、風呂で頭を沈めて溺れさせたことも
妻によると子どもを突き飛ばしたり青アザができるまで何度も蹴ったりし、「痛くて泣いてしまうような暴力が1年のうちに350日あった」。風呂で遊んでいて、足を持って頭を沈めて溺れさせたこともあるという。
子どもが大好きなのになぜ虐待?「親や先生にたたかれるのが当たり前だと思ってた」
それでも子どもは大好きだというコウタさん。虐待の要因を過去に探すと、自身は「両親や担任の先生、部活の顧問に悪いことをしたらたたかれるのが当たり前だと思ってた。子どもに対してもそういうふうにやっていた」
しつけで殴られた世代でも殴らない親もいる。その違いは?
「アタシたちの世代も殴られてたけど、アタシは殴らない。その違いは何だろう?」と疑問を呈すYOU。「兄弟の中で一番下だからと、ぎゅっと抑えられていた。その反動で結婚したら自分が王様気取りになったのかも」
子どもを自分のおもちゃのように接していた
コウタさんは小さい頃、両親が共働きで寂しい思いをしていた。「自分がされていなかった愛情を息子・娘にしてたのかなと思います。でも子どもの気持ちを考えずに、子どもを自分のおもちゃのように接してました」
虐待やDVの更生プログラムで「俺もやってる」と気づけた
コウタさんは虐待やドメスティックバイオレンスの加害者が通う更生プログラムに参加中。「他の参加者の話を『ひでえなあ、何でそんなことで怒るの』って聞いてたけど、回数を重ねるうちに俺もやってるって気づけた」
妻は離婚も考えるも、子どもたちは「別れないでほしい」
妻は言う。「更生プログラムを中途半端でやめたり、また子どもを傷つけたりすることがあったら離婚も仕方がないのかな。でも子どもたちは『別れないでほしい』って…」。コウタさんは今、距離感の取り方を学び中だ。
児童相談所に娘を保護された男性が語る「しつけと思っていた」
ねほりんぱほりん
「子どもが自分のおもちゃっていう認識でいました」。10年以上わが子を虐待していた男性。子を愛する一方で、しつけが一線を越えていったと言う。虐待をどうやって自覚できたのか?どうやって自分を変えられるのか?加害者の心理を掘る。(ねほりんぱほりん)