五島列島の教会群~久賀島・素朴な木造の旧五輪教会
長崎の五島列島には、51のカトリック教会があり、どの教会も個性的な特徴を持つ。久賀島にある旧五輪教会は木造で古い民家のような趣。素朴で安らぐ木目。1999年に国の重要文化財に指定された。
キリスト教伝来から長い迫害の時期を経て教会を建築
日本へのキリスト教伝来は1549年。迫害が始まった豊臣秀吉の時代、26人の信者が長崎で処刑された。江戸幕府も禁教令を出し、信者は密かに信仰を守り続けた。現在残る教会の多くは自由を得た明治以降の建築だ。
中通島・信者がレンガを積み上げた青砂ヶ浦教会
中通島の青砂ヶ浦教会は、島の信者がひとつひとつ積み上げたレンガでできている。老若男女問わず進んで建築作業を手伝ったという。信者にとって苦労ではなく、祈りの場所をつくることが信者たちの願いだったのだ。
頭ヶ島・信者が切り出した石造りの頭ヶ島教会
頭ヶ島の頭ヶ島教会は全国的にも珍しい石造りの教会。信者が石を切り出して積み上げ、重厚な趣をかもし出す。内装は柱がなく開放的な構造。天井には花の彫刻が施され、島を自生する椿などが満開に咲き誇る。
中通島・光が低い窓から射し込む大曽教会
五島列島には中通島の大曽教会のように光を生かした教会もある。この地方の教会はヨーロッパのように天井が高くなく、窓が低い位置にあり光が真横から入るのだ。
奈留島・手書きの花模様が窓を彩る江上教会
小さな島の教会では高価な色ガラスは使えなかった。自分たちの教会にも花を咲かせたいと考えたのか、奈留島・江上教会のガラスには手書きで花模様が描かれている。教会は信者たちの思いが詰まった祈りの場なのだ。
「教会」五島列島の教会群~弾圧や禁教令を越えて
美の壺
長崎の五島列島には、51のカトリック教会があり、どの教会も個性的な特徴を持つ。久賀島にある教会は木造の素朴なたたずまい。中通島の青砂ヶ浦教会は、ひとつひとつ信者が積み上げたレンガでできている。過酷なキリシタン弾圧に耐えながら、信仰を守り続けた信者たち。彼らの祈りが込められた、五島列島の教会を巡る。(美の壺)