現代格闘技でも柔術の技術がその強さを証明している。ブラジリアン柔術は格闘技や絞め技を駆使する寝技主体の武術で打撃は一切使用しない。ＲＩＺＩＮフェザー級王者クレベル・コイケが技を披露する。

ブラジリアン柔術のスゴ技①巴投げからの腕ひしぎ十字固め。相手の真下に潜り込んで崩し、上からプレッシャーをかけてくる力を利用して宙に浮かせる。相手はなす術もなく地面に着いた瞬間、腕を極められてしまう。

「寝技の最も有利な点は力の勝る相手、体格の勝る相手と互角かそれ以上に戦えること」とトライフォース総代表・早川光由さん。現役時代、日本最強を誇り、今は後進の育成・指導に力を注いでいる。

ブラジリアン柔術のスゴ技②ロールエスケープ。もともと護身を目的に発展してきたブラジリアン柔術の基礎となる技。相手と自分の重心をコントロールして不利な状況を逆転する。

武術未経験者でもできるのか？トリンドル玲奈が五輪金メダリストの松本薫を相手に挑戦する。①右手で相手の左手首をつかむ。５本の指で完全に引っかける②左手で相手の右ひじを押さえる。わきを締めるようにして。

③左足で相手の右足を押さえる。寄せて完全にロックする④ブリッジして相手を崩す。相手は自動的に体制が崩れる⑤左側へ回って相手を返す。ぐるっとローリングする。力はそんなに入れてないのが柔術のすごいところ。

柔術の源流とも呼ばれる流派が竹内流。天文元（１５３２）年に創始した記録上日本最古の柔術である。第１４代宗家・竹内藤一郎が「腰廻忽離・表」を披露。相手の力を利用して倒す崩しの技法が既に確立されている。

そこから発展したひとつが大東流合気柔術。「大きい人や腕力・体力がある人に対していかに勝つか考えて作り上げた、要するに弱い人が学ぶものだと思います」と大東流合気武道本部春風会師範・石橋義久さん、８４歳。

大東流は敵と接触した瞬間が勝負だと石橋さん。「相手を倒せればベスト、倒せなくても接触したときは崩している」。大東流合気柔術の極意は「力で対抗せず相手につかませる技」。つかませると簡単に相手を操れる。

大東流合気柔術秘伝の技「小手返し返し」を披露。小手返ししてくる相手を返り討ちにする。まずは小手返しをご覧いただこう。突いてきた相手の手を捕らえ手首の関節をひねって倒す技。この小手返しを返す技とは？

「小手返し返し」の演武。小手返しをかけられる瞬間相手の腕の間に左手を差し込む。手首を返されると同時に左腕で相手の右腕を浮かせ、相手の力を利用して前方に飛び込むことで小手返しを返しているのだ。

「自分を磨いていかないと単なる凶器になってしまう。勝ち負けを求めながら心を鍛えなければいけないと常に思っています」と石橋さんは語る。