『三国志』の人気武将、情の劉備と智の諸葛孔明。「三顧の礼」の逸話でも有名
魏・呉・蜀の『三国志』で特に人気の武将といえば、蜀を建国した劉備。情に厚いが、それが弱点になることも…。これを補ったのが智の諸葛亮(孔明)。劉備は3度孔明の元を訪ね「三顧の礼」で彼を部下に迎えた。
劉備の重臣・関羽の娘を息子の嫁に欲しいと呉の孫権から申し出が
その後2人は、部下の登用方針でせめぎ合うなど、しばしば微妙な緊張関係になる。そんな時、呉の国主・孫権から申し出が。劉備との同盟関係を強固にするため「劉備に忠誠を誓う重臣・関羽の娘を息子の嫁に欲しい」
『三国志演義』では仇討ちを仕掛ける劉備を諸葛孔明は止めたことになっているが…
縁談を拒絶した関羽は、同盟を破棄した孫権軍に殺される。激怒した劉備は呉に仇討を仕掛ける。小説『三国志演義』では孔明が劉備を止めるが、歴史書である正史『三国志』には書かれていない。
早稲田大学教授が読み解く劉備に対する諸葛孔明の心情
早稲田大学文学学術院教授・渡邉善浩さんは「劉備は情の人なんで、自分をずっと支えてくれた関羽のあだ討ちにどうしても行くわけです。孔明はそう思ったので何も言わないんですよね」と諸葛孔明の心情を読み解く。
北村一輝が朗読する『三国志』劉備の諸葛孔明に対する遺言
劉備はあだ討ちに敗れ死の床につく。そしてこんな言葉を孔明と息子の劉禅に残す。「もし劉禅が補佐するに足る器であるならばこれを補佐せよ。もし才能がなければ君が自ら皇帝の位を取るべきである」
劉備の息子・劉禅の臣下になることを涙を流して約束する諸葛孔明
劉備は孔明が裏切らないようあえてこのように言ったとも考えられる。これを聞いた孔明は涙を流して「臣はすすんで手足となって力を尽し忠節をささげこれを死ぬまで貫き通します」と答えた。
諸葛孔明は心外だった? 心を試した劉備
「(劉備が)本当に信頼しているのであればこういうことは絶対に言わないだろうと。だから諸葛亮はすごい心外だったと思うし『そんなこと絶対言わないでくれ』っていうふうな気持ちだったと思います」と渡邉さん。
劉備の死後、智の孔明が“情”で動く!大国・魏との戦いを宣言 ~出師の表~
劉備の死後、孔明に変化が。孔明は劉備から受けた恩に報い、みずから魏と戦うことを劉禅に宣言。智の孔明が情で動く。「先帝は臣の慎み深いことを認められ、崩御されるにあたり臣に国家の大事をまかされました」
北村一輝が朗読『三国志』諸葛孔明の劉備に対する忠誠の誓い
「願わくは愚鈍の才を尽くし凶悪な魏の者どもを打ち払い漢室を復興し旧都・洛陽に帰りたいと思います。これこそ臣が先帝のご恩に応え陛下に忠を尽くすために果たさねばならぬ職責なのです」
北村一輝が朗読!『三国志』あらすじ・劉備と諸葛孔明の緊張関係
100分de名著
人気No.1の武将・蜀を建国した劉備。義理人情に厚い性格から「仁」の人と評価されて周囲の信頼を集める一方、国を治める上では弱さにも…それを補うために迎えたのが“三顧の礼”の逸話で有名な「智」の軍師・諸葛亮(孔明)。「三国志」屈指の名コンビとして人気の2人だが、実は微妙な“緊張関係”があった。その緊張関係があったからこそ生まれた感動の物語を俳優・北村一輝さんの圧巻の朗読で味わう。(100分de名著)