『風と共に去りぬ』の主人公スカーレット・オハラは何不自由なく育ち、男たちを虜に
裕福な家庭で何不自由なく育ってきたスカーレット・オハラ。町中の男が彼女に夢中だが、スカーレットには本命がいた。貴公子アシュリ・ウィルクス。自信家のスカーレットは彼と結ばれることを疑っていなかった。
スカーレット・オハラの耳に本命男性が他の女性と婚約するとのニュースが
そんなスカーレットの耳に信じられないニュースが届く。「アシュリとメラニーの婚約発表があるらしい」。表情も変えず聞いていたスカーレットだが、内面では嵐が吹き荒れていた。
元宝塚月組トップスター・龍真咲が朗読!「アシュリの想い人はわたしよ!」
元宝塚月組トップスター・龍真咲さんが朗読。「アシュリが彼女を好きだなんて、絶対に、絶対にあり得ない。だってあの人はわたしに恋をしているんだもの。このわたし、スカーレット・オハラがアシュリの想い人よ!」
『風と共に去りぬ』アシュリのつれない返事に怒りを爆発させるスカーレット
婚約パーティーでスカーレットはアシュリに自分から告白するが…、アシュリの返事はつれなかった。すると、だしぬけに怒りが爆発した。「言ったらどうなのよ、この臆病者!わたしと結婚するのが怖いって!」
翻訳家・鴻巣友季子が解説「スカーレットが読者には嫌われない理由は文体にある」
翻訳家・鴻巣友季子さんが指摘する。「スカーレットは作中の女性たちからは総スカンだが読者には嫌われない。一番の理由はマーガレット・ミッチェルのボケとツッコミ文体にあると思う。ツッコミを入れるんですね」
『風と共に去りぬ』ボケの例…妹の婚約者を奪おうと思いつき、勝手に舞い上がる場面
ボケの例…妹の婚約者を奪おうとする場面。「フランク(妹の婚約者)も彼の店も製材所も、スエレン(妹)に渡してなるものか!レット(後の夫)には期待を裏切られたけれど、神はこうしてフランクを与え賜うた」
『風と共に去りぬ』ツッコミの例…スカーレットのモラルが崩壊していることを指摘
ツッコミの例…「彼がスエレンの婚約者であろうと、良心の呵責はまったくなかった。レットのもとへやってきた時点で、モラルはすっかり崩壊しているから、妹の許嫁を略奪するぐらい、ささいなことにしか思えない」
スカーレット・オハラの表と裏の顔…心のなかで毒づきながら相手をほめそやす
妹の婚約者から自慢話を聞く場面では、スカーレットの表と裏の顔が描かれる。「うぬぼれ屋のばかおやじめ」と、心のなかで毒づきながら、「ええ、あなたなら何を手がけても成功なさるでしょう、ケネディさん」
マーガレット・ミッチェルの文体で読者はスカーレットと一体化し、カタルシスも得る
「ミッチェルが選んだのはスカーレットの中に入り込んで物語る文体・話法。読者はスカーレットと一体化して波乱万丈の物語を楽しめる一方、語り手のツッコミでカタルシスを得て溜飲が下がる」と鴻巣さんは解説する。
元宝塚・龍真咲が朗読『風と共に去りぬ』の主人公が愛される理由
100分de名著
1936年発表、映画化で人気を博し、今なお名作とされる「風と共に去りぬ」。ヒロインのスカーレット・オハラは、数奇な運命の中、どん底を生き抜くために、妹の婚約者を略奪し、金の亡者と化す。浮き彫りになるスカーレットの表と裏の顔。作中の女性たちからは総スカン!…なのに、なぜスカーレットは読者に嫌われないのか?そこには著者の巧みな戦略があった。元宝塚月組トップスター・龍真咲さんが朗読(100分de名著)