0:00
ルソーの思想が詰まった子育て物語『エミール』を西研が解説
自由と平等を求めたフランス革命にも影響を与えた思想家ルソー。名著『エミール』は「教育の本なんですけど、生きる意味などルソーの思想の全体がつまった本なんです」と東京医科大学哲学教室の西研教授が解説。
0:43
家庭教師のルソーが男の子エミールを田舎で育てる物語
物語は架空の男の子エミールを家庭教師のルソーが育てながら進む。ルソーは堕落した都会を離れ自然豊かな田舎でエミールを育てる。乳児エミールは泣くことで欲求を伝え、乳母はお乳やおしめの交換に応える。
1:12
子どもを“わがままな暴君”に育てないように
その泣き声に無制限で向き合っていると子どもが“わがままな暴君”に育ってしまいかねないとルソーは警告。「自由を求めたルソーは、子どもを見つめて思いを感じ取り適切に対応するのが一番大事と言いたいのです」
1:46
「子どもの発達段階」という革新的な概念を生み出したルソー
子どもの発達段階に応じて全5編で書かれる『エミール』。子どもの成長に発達段階があるという考えは18世紀のフランスでは革新的だった。「ルソーの考えが現代の常識になったということです」と西さん。
2:05
家庭教師は沈んでゆく太陽と日の出を見て、その理由を問いかける
10代前半に成長したエミール。家庭教師とエミールは沈んでゆく太陽と日の出を見る。家庭教師は「どうしてそういうようなことが起こるのだろう」と問いかける。それ以上のことを言ってはいけないという。
2:38
ルソーが示したのはアクティブラーニング(問題発見・解決型学習)のルーツ
エミールは太陽の軌道について考え自分なりの答えを出した。「好奇心の連鎖で知識を得るように仕向けている。アクティブラーニング(問題発見・解決型学習)という疑問や興味を重視した教育方法のルーツですね」
3:24
愛する女性が死んだと聞いたらあなたはどうする?
大人になり、ソフィーと愛し合うようになったエミールに家庭教師は質問を投げかける。「ソフィーは死んだという知らせを聞いたらあなたはどうする」。混乱するエミールに家庭教師は語った。
3:57
欲望に支配されず、欲望を支配せよ
「きみがまだ克服することを学んでいない新たな敵が立ち上がってきた。それはきみ自身だ。欲望を感じることによってきみはきみの欲望の奴隷になってしまった」。欲望に支配されず、欲望を支配せよという教えだった。
4:29
家庭教師の教育が終わるとき、エミールが出した答えは
その後、社会や政治を学ぶために2年間いろんな国を旅した2人。これからどうするのか尋ねると「誰よりも自由に生きるつもりだ」と答えたエミールは農村でソフィーと家庭を築く。家庭教師の教育は終わりを迎える。
5:01
欲望を支配したとき、人間は本当の意味で自由になれる
「欲望に引きずられているなら欲望の奴隷だよ。その欲望を見つめ直して、ちゃんと自分の幸せに通じているなということを判断したときに、自分自身の支配者になり、本当の意味で自由になれるとルソーは言うんですね」
5:33
自分と他人の幸福はつながっているか問いかけながら生きることを提案
「自分の軸を持って生きるということ。本当に自分と他人の幸福はつながっているか問いかけながら生きる、そういう生き方の提案というふうに思うんですね」と西さんはルソーの思いを読み解く。
『エミール』現代にも通じるルソーの思想が詰まった子育て物語
100分de名著
フランス革命に影響を与えた『社会契約論』 の著者であり、ホッブズやロックと並び称される思想家ジャン=ジャック・ルソー。そのルソーが家庭教師となり、架空の男の子を育てながら進行する成長物語『エミール』には、ルソーの思想のエッセンスがたっぷりつまっている。どうすれば人は成長できるのか?何物にも縛られず自由に生きるためには?現代人の”生き方”にも通じる驚きの内容をわかりやすく解説!(100分de名著)
こちらもおすすめ
7:45
元祖インフルエンサー!?等身大のツイート小説「放浪記」
100分de名著
5:50
“カムイ”の世界が語られる物語 「アイヌ神謡集」
100分de名著
7:14
昆虫から学ぶ!循環する命の美しさ ファーブル「昆虫記」
100分de名著
7:12
現代人も共感!?人間の”弱さ”を描いた カフカ「変身」
100分de名著
7:06
若者たちの成長を描いた“人生賛歌”『戦争と平和』
100分de名著
7:46
「種の起源」ダーウィンは“進化論”をどう確立したのか?
100分de名著
10:10
愛を求めた悲しき怪物の物語『フランケンシュタイン』
100分de名著
9:27
優柔不断なんかじゃない!どう生きるべきか悩む『ハムレット』
100分de名著