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文豪・谷崎潤一郎のエッセー『陰翳礼讃』。日本家屋と電気製品が調和しない理由を考察
明治から昭和に活躍した文豪・谷崎潤一郎。エッセー「陰翳礼讃(いんえいらいさん)」は“日本の美”を探求し、海外でも読まれている。谷崎は日本家屋に西洋の電気製品を調和させにくいことを嘆き、理由を考察する。
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和紙のくすみなどに見られる陰翳の要素~光に対する西洋と日本の美意識の違い
見いだすのは西洋と日本の光に対する美意識の違い。曇りなくピカピカに磨き上げられたものを良しとする西洋と違い、日本では和紙に見られるようなくすみなどに心地よさを感じる。そこに谷崎は陰翳の要素を見る。
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われわれの先祖は日本建築の暗闇に美を見いだした
日本建築にある暗闇。雨風の多い気候で庇が長くなり、室内は暗くなった。そこに谷崎は美を見いだす。「暗い部屋に住むことを余儀なくされたわれわれの先祖は、いつしか陰翳のうちに美を発見し、利用するに至った」
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座敷の美は障子を透して忍び込む間接の鈍い光線
「室内へは庭からの反射が障子を透して忍び込む。座敷の美の要素は、この間接の鈍い光線に外ならない」。作家・法政大学教授の島田雅彦さんは「うす暗闇にいるとがぜん空気が重くなる」とその感覚を解説する。
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床の間に見る光と蔭の使い分け。「東洋の神秘」とは暗がりが持つ無気味な静かさ
中でも注目するのは床の間。「私は床の間を見る毎に、いかに日本人が光りと蔭との使い分けに巧妙であるかに感嘆する。西洋人の云う『東洋の神秘』とは、かくの如き暗がりが持つ無気味な静かさを指すのであろう」
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床の間の奥を見つめ、言い知れぬ怖れと寒けを覚えた少年の頃
「われらといえども少年の頃は、日の目の届かぬ茶の間や書院の床の間の奥を視つめると、云い知れぬ怖れと寒けを覚えたものである」。島田さんは「日常の中にそういう儀式の瞬間がプログラムされていた」と指摘する。
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“西洋化疲れ”が谷崎潤一郎に日本独自の美を追い求めさせた?
谷崎はなぜ日本独自の美を追い求めたのか?「西洋化の波が庶民に降りてきて、“西洋化の疲れ”が出てきて、失われつつある伝統の良さに注目したくなったのでは。文学でしっかり書き残しておくのだという一節もある」
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谷崎潤一郎が美を見いだした“陰翳”にあなたは何を感じるか?
「文学という殿堂ののきを深くし、壁を暗くし、見え過ぎるものを闇に押し込め、無用の室内装飾を剝ぎ取ってみたい。一軒ぐらいそう云う家があってもよかろう」。谷崎が美を見いだした“陰翳”。あなたは何を感じる?
文豪・谷崎潤一郎が『陰翳礼讃』で暗闇に見つけた“日本の美”
100分de名著
“日本の美”を探求した書として海外でも広く読まれる、文豪・谷崎潤一郎のエッセー「陰翳礼讃(いんえいらいさん)」をわかりやすく解説!日本家屋独特のひさしや障子にろ過された間接の鈍い光や床の間の暗がり。それらが、近代化・西欧化がもたらした電灯の人工光によって失われようとしている、日本ならではの美の再発見でもあった。100年たった今、陰翳や暗がりに、あなたは何を感じますか?(100分de名著)
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