金沢大学がナノメートルの世界を捉える顕微鏡を発明
世界が驚く新しい顕微鏡を発明した金沢大学ナノ生命科学研究所。その高速原子間力顕微鏡(高速AFM)はナノメートルという微細な世界を生きたまま捉えられ、40台以上の高速AFMで様々な研究を行っている。
世界を驚かせるナノの世界の映像を撮影
この顕微鏡を使ってナノの世界の謎に挑んでいるのが柴田幹大教授。この日観察していたのはDNA。200ナノメートル四方で鮮明に見ることができる。柴田さんは高速AFMを使って世界を驚かす映像を撮影してきた。
ノーベル賞を取ったゲノム編集の瞬間を世界で初めて撮影!
ノーベル賞を取ったゲノム編集はCas9というたんぱく質を使ってDNAを自由自在に切り貼りできる技術。柴田教授はCas9がDNAを切り取る動きを捉えた。世界で初めてゲノム編集の瞬間の動きを撮影したのだ。
たんぱく質は二足歩行する~想像した姿を見るために開発を開始
高速AFMの生みの親である安藤敏夫特任教授は28年前、ミオシンVというたんぱく質の動きを見たいという思いから開発を始めた。二足歩行のような動きを考えていたが、誰も実際に歩く姿を見たことはなかった。
スイスで開発された原子間力顕微鏡に着目
そこで目をつけたのがスイスで開発された原子間力顕微鏡。測定したいものを置くステージと針で構成され、ステージが動き、針が突くことでものの形を調べるのだ。でも針で突いたらものが壊れてしまうのでは?
原子間力を利用すれば針が物体を傷つけない
利用するのは原子間力。針と物体にプラスの電荷を帯びさせると、それぞれの原子と原子の間には原子間力という微弱な反発する力が生まれる。その力を針が検知した瞬間にステージが離れるので、物体を傷つけないのだ。
パラパラ漫画の要領で動画を得ようとするが…
当時の性能では1枚の画像を得るのに数分かかり、静止画しか得られなかった。その時間を極限まで縮めればパラパラ漫画のように動くと考えたが、ステージが激しく動いて振動が起こり、計測が出来なくなってしまった。
ナノの動きを捉えるオリジナルの顕微鏡がついに誕生!
安藤さんは計測台の下に逆向きの力を与えることで振動を解消。針の小型化にも挑み、半導体に使われているプラズマエッチングという技術で超微細な針を実現。ナノの動きを捉えるオリジナルの顕微鏡が誕生した。
「ネイチャー」掲載で世界の科学者が驚愕・たんぱく質の二足歩行
安藤教授は追い求め続けたミオシンVの姿を捉えることに成功。想像していた通り、二足歩行をする様子がくっきりと映っていた。この映像は権威ある学術誌「ネイチャー」に掲載され、世界の科学者たちを驚愕させた。
ナノの動きを活写! 世界の科学者を驚かせる金沢大学発の顕微鏡
サイエンスZERO
世界が驚く新しい顕微鏡が日本で発明されていた!ナノサイズで生きたサンプルの動きを捉える“常識破りの能力”が、見たことのない生命の営みを映し出す。世界初映像続々!(サイエンスZERO)