オスだけで3種類もいる鳥・エリマキシギ~見た目だけでなく行動にも違いが
生き物たちの世界にはまだまだ解けない謎がいっぱい。エリマキシギという鳥、よく見るとオスだけで3種類いる。見た目だけでなく行動も異なる。従来からいるのが縄張り型。ケンカが得意で縄張りを作ってメスを待つ。
縄張り型・シロエリ型・ニセメス型…生物学者にもなぞの進化
白い羽毛のシロエリ型はケンカが弱く、縄張り型と行動を共にする。もう一つは何とメスと見た目がそっくりでケンカを避けるニセメス型。なぜこのような進化を遂げたのか、生物学者たちの間で大きななぞとされてきた。
なぞを解くカキはスーパージーン=超遺伝子…東京大学新領域創成科学研究科へ
それを解き明かすカギがスーパージーン=超遺伝子。東京大学新領域創成科学研究科・藤原晴彦教授の研究対象シロオビアゲハは主に沖縄地方に生息。同じ種なのに羽の模様が白い斑点と赤い鮮やかな紋様の2種類ある。
複雑な擬態ができるのはスーパージーンを持っているから?
赤い紋様の方は毒を持つ別のチョウに擬態しており、羽の形や模様に加え、飛び方までも似せている。「非常に複雑なことを1つの遺伝子でできるかというと、なかなか難しい。スーパージーンを持ってるんじゃないか…」
シロオビアゲハの擬態はスーパージーンによるものでは?
通常、チョウの羽の紋様や形などの遺伝情報は、異なる染色体にバラバラに存在する。一方、シロオビアゲハの擬態に関しては複数の遺伝子がセットになって機能するスーパージーンではないかと藤原さんは考えた。
擬態するシロオビアゲハのゲノム配列に通常とは逆向きの領域が
スーパージーンは染色体のどこに存在しているのか。藤原さんは擬態する個体と、しない個体のゲノム配列を比較した。するとそこだけ全く異なる領域を発見。配列が通常のものとは全く逆向きになっていたのだ。
染色体がひっくり返る~生物の進化には“逆位”が重要
「スーパージーンのほとんどには染色体がひっくり返る現象が見られ、“逆位”が進化にとって重要なんじゃないか」「通常の遺伝子は単独で働く。スーパージーンは染色体の1か所に複数の遺伝子が固まって共同で働く」
研究者も興奮!あらゆる生物でスーパージーンが関係する現象が判明中
ただ、スーパージーンと進化の関連性については生物学者たちもまだおぼろげだ。「ありとあらゆる生物でスーパージーンが関係している現象が今次々と見つかって、研究者はすごく興奮している状態ですね」と藤原さん。
スーパージーン=超遺伝子が生物進化のなぞを解くカギに!
サイエンスZERO
生命進化のナゾを解き明かすカギ、スーパージーン(超遺伝子)の秘密に迫る!おなじ種類の鳥のオスなのに姿が3種類?アゲハチョウのメスが、すがたも飛び方も違う2種類?そのナゾトキに挑んだ科学者達も困惑する、不思議な遺伝子が次々に発見された!(サイエンスZERO)