「代表的な暗号資産(仮想通貨)はビットコイン」中央大学教授・岡嶋裕史が解説
「みなさんは暗号資産(仮想通貨)というと何を思い浮かべるでしょう。いろいろな種類があります。最初に登場して現在も圧倒的な地位を築いているのがビットコインです」と中央大学国際情報学部教授の岡嶋裕史さん。
ビットコインの中核技術・ブロックチェーンは画期的なセキュリティシステム
「ビットコインの中核にある技術がブロックチェーン。これは画期的なセキュリティシステムだと思います。これまでセキュリティっていうと、とにかく秘密に隠しておく、ごく少数の人しか関わらせないイメージでした」
従来のセキュリティシステムには秘密であるがゆえの欠点があった
「でも秘密にしてあるがゆえに、知らないところで盗まれる。管理者が大きな責任を持って管理していますから、その管理者が悪いことをしようと思えばいくらでもしようがあるとか、そういう欠点を抱えていました」
ブロックチェーンと銭形警部が風船にお宝を入れるルパン三世のエピソード
「それに対してブロックチェーンは世界中の人が相互監視をしようという仕組みなんです。ルパン三世で銭形警部がいつもルパンにお宝を盗られてしまうので、風船の中にお宝を入れて空に浮かべたエピソードがあります」
衆人監視でセキュリティを図るブロックチェーン
「これはすごいアイデアだなって思いました。衆人監視の形になってしまって、ルパンですら容易にはアクセスできないという。ブロックチェーンってそれにすごく似ていると思います」
ハッシュ関数はブロックチェーンが改ざんされない仕組みの中核
「ブロックチェーンはネットワークの中で発生した全ての取引を記録する台帳のようなもの。公平に改ざんできないための仕組みが織り込まれています。その中核に位置するのがハッシュ関数という技術なんですね」
ハッシュ関数×データ=ハッシュ値。データが少しでも違うとハッシュ値は全く変わる
「ハッシュ関数にいろんなデータをかけるとハッシュ値が出てくる。同じデータをハッシュ関数にかけると必ず同じハッシュ値が出てきて、ちょっとでも元のデータが変わっていると全く違うハッシュ値が出てくる」
「吾輩は猫である。名前はまだ無い。」をハッシュ関数にかけると…
「『吾輩は猫である。名前はまだ無い。』をハッシュ関数にかけるとハッシュ値が出てきます。今度は文書の最後の『。』を取ってみます。たった一文字変えただけなんですけど、全く違うハッシュ値が出てきます。」
ハッシュ値なら小さな改ざんも一目瞭然で見抜くことができる
「元の文章だと『。』がないだけですから、気がつかないかもしれません。ハッシュ値を見ると似ても似つかない値になっていますので、改ざんに気づくことができる。この仕組みで改ざんできない技術を組みあげている」
ビットコインの透明性・みんなで不正がなかったか検証できる
「ビットコインはアプリをインストールすると誰でも参加できます。そのやり取りで不正がなかったか自分の手で検証できます。なので透明性が高いとか、みんなで検証できるということが言われているわけです」
暗号資産(仮想通貨)の大きな課題は3つ。取引所にはハッキングの危険も
「暗号資産は魅力的に見えますが、まだまだ課題があります。大きな課題は3つ。①ハッキング②電力消費③課税。ハッキングは、いくらブロックチェーンの中が安全でも、換金する取引所は悪い人が狙ってきます」
ビットコインだけで小さな国1つ分!莫大な消費電力
「2番目は莫大に消費される電力。多くの人が集まって問題がないか世界中で調べているような状態ですので、莫大な電力を使っています。今ではビットコインだけで小さな国1つ分の電力を使っていると言われます」
暗号資産(仮想通貨)の課税はルールが未整備
「もう1つ、課税の問題があります。NFTアートなどはビットコインやイーサリヤムなどでやり取りされます。もうけが出たときの課税もルールが未整備な状態。その辺も注意しておく必要があるのかなと思います」
暗号資産(仮想通貨)とセキュリティ技術ブロックチェーンとは?
令和ネット論10min.
「デジタルの今」について解説する。今回のテーマは暗号資産(仮想通貨)とその中核となるセキュリティー技術ブロックチェーン。中央大学教授の岡嶋裕史さんが、ブロックチェーンの基本的なイメージと改ざんできないための基幹技術ハッシュ値について解説(令和ネット論10min.)