『走れメロス』は友情物語でなく、残虐な王様が主人公!?
『走れメロス』の作者は太宰治。自分の身代わりとなった友と、彼のもとへ走るメロスの厚き友情物語と語られることが多い。けれどここでは、メロスを処刑しようとした王が主人公という「主人公王様説」を紹介しよう。
「人を疑うのが正当」王様の言葉の意味とは?
民を殺す残虐な王を襲おうと城に侵入して捕らわれたメロスは「人の心を疑うのは最も恥ずべき悪徳だ」と告げる。それに対し「疑うのが正当な心構えだと教えてくれたのはお前たちだ」という王の言葉の意味とは?
『走れメロス』王様の疑りは民の裏切りを見て生まれた
批評家・若松英輔は読み解く。「王様はよく民を見ており、民の生活で裏切りが行われていることに気づいた。だから『人をあまり簡単に信じるとひどい目にあう』というのは、我々の胸をえぐるような言葉だと思う」
セリヌンティウスとの約束を守るため、ひたすら走り続けるメロス
メロスは妹の結婚式のため、処刑まで3日の猶予を得て、親友のセリヌンティウスに身代わりを頼む。信じてくれた友のためにメロスは時に濁流を泳ぎ、山賊を殴り倒し、自分を叱りながらただひたすら走り続けた。
王様の心が変化し「どうかわしも仲間に入れてくれまいか」
友のもとへ帰ってきたメロスを見て王の心に変化が起きていた。「どうかわしも仲間に入れてくれまいか」。2人の姿を見て王は気づいたのだ。「信実(真面目で偽りのないこと)とは決して空疎な妄想ではなかった」と。
太宰治の代表作『走れメロス』の主人公は残虐な王様だった!?
100分de名著forティーンズ
太宰治の代表作「走れメロス」の主人公はメロスではなく残虐な王様だった!?この物語は友情をテーマにしているが、民を苦しめる王がメロスたちの友情によって心を変化させていくことに注目する。「走れメロス」に登場する人間関係を読み解き、物語の面白さを再発見する(100分de名著)