魚は賢い動物? 鏡に映る姿を自分だと理解できる魚もいる
魚は脊椎動物の中で最も古い時代に誕生し、生物学者の間でも“頭の良い生き物”とは思われていなかった。ところがある魚が鏡に映る姿を自分だと理解できる高度な能力を持つことが最近初めて明らかになった。
魚の知能の研究最先端・大阪市立大学~魚は互いを正確に見分ける
魚の知能の研究で世界の先端を走る大阪市立大学の動物機能生態学研究室。幸田正典教授が発見した魚の知的能力の一つが、魚が互いを正確に見分ける能力。幸田さんが研究対象にしたのはアフリカの湖に住む魚だ。
見慣れた相手には寛容で、知らない相手には攻撃を加える魚たち
湖の浅い場所で縄張りを作って暮らす魚たちは見慣れた相手には寛容な一方、知らない相手には攻撃を加えることが分かっている。相手を識別する能力がありそうだが、一体何を手掛かりに識別しているのか。
コンピューターで顔だけ替えた魚の画像を作成
目を付けたのは顔の模様。体長10cmほどのプルチャーという魚は顔に黄、茶、水色の3種類の模様があり、個体ごとに異なっている。そこでコンピューターを使って顔を切り貼りし、顔だけを替えた全身画像を作る。
知らない顔だと知っている顔の3倍も長く警戒
知っている顔、知らない顔の2種類の写真を水槽のガラス越しに見せ、プルチャーの反応を調べた。結果は写真の相手を見る時間の違いに表れた。知らない顔だと警戒して、知っている顔の3倍も長く見ていたのだ。
鏡を見せると攻撃し始めるホンソメワケベラ~ハイスピードカメラで撮影
太平洋やインド洋などに生息する体長10cmほどの魚ホンソメワケベラに鏡を見せる実験をハイスピードカメラで記録。鏡のカバーを外すとホンソメワケベラは鏡に映った姿をライバルだと勘違いして攻撃し始めた。
攻撃から確認へ、鏡像認知実験でチンパンジーと同じ反応を
しかし20分ほど経過すると鏡に映る自分の姿をのぞき込み始める。さらに激しく動いて自分と同じ動きをしていることを確かめた。この攻撃→確認というプロセスはチンパンジーなどの鏡像認知実験でも見られる。
ホンソメワケベラは鏡像認知ができる! 寄生虫に似せた印を砂にこすりつけて…
鏡像認知が出来るようになったと思われる個体の喉に寄生虫そっくりの印をつけて鏡を見せた。すると鏡に映った印を頻繁に確認し、喉を砂にこすりつけた。幸田さんは鏡に映った姿を自分と認識していると結論づけた。
【桝太一推し!】「魚」は賢い動物。鏡の自分がわかる鏡像認知も
サイエンスZERO
「魚」は脊椎動物の中で最も古い時代に誕生し、長い間“頭の良い生き物”とは思われていなかった。ところが、最新科学で驚くべき認知能力を持つことが明らかに。仲間の顔を正確に見分けたり、鏡に映る姿を自分だと理解できたりするなど、これまでの常識が大きく覆される研究結果が!?(サイエンスZERO)