ダークマターは光を発しないため、目に見えない。そして強い重力を持つ。未発見の素粒子や未知の天体などさまざまな説が唱えられているが、正体は不明。見えない物質がなぜ「ある」といえるのか。

宇宙を観測すると重力レンズと呼ばれるゆがみが見つかることがある。重力レンズを引き起こすのはダークマターが持つ強い重力。重力が光を曲げ、ゆがんで見えるのだ。この力の源こそダークマターと考えられている。

このゆがみの形を分析し、ダークマターがどこにあるのか「推定」しているハワイのすばる望遠鏡。世界最大のデジタルカメラ「ハイパー・シュープリーム・カム」でダークマターがある場所を探る。

みずがめ座の一角、ダークマターの分布が浮かび上がった。このダークマターの分布を解析することで膨張を続けている宇宙がこれから先どうなるのか予測がたてられるという。現在その解析が急ピッチで進められている。

ニューメキシコのスカイ天文台。２４本のレンズが並ぶ「ドラゴンフライ望遠鏡」で複数のレンズの画像を合成し、より鮮明な銀河を捉える。銀河の星々はダークマターの強い重力によってつなぎ止められているという。

撮影された矮小銀河。星団の速度分析からダークマターの存在しない銀河だと分かった。これまでの天文学の常識が覆された。ダークマターとは一体なにものか。宇宙の謎に挑む観測は今日も続けられている。