後続の研究者たちによって広がりを見せるアインシュタインの「一般相対性理論」
「重力によって時間の流れと空間はゆがむ」と説いたアインシュタインの「一般相対性理論」。その理論は彼の後を追う研究者たちによって実証され、さらなる広がりを見せていた。
相対性理論~壊れた貯金箱がどんな形でどのように壊されたのかが分かる?
たとえば壊れた貯金箱。これがどんな形だったのか?どのように壊されたのかが分かるのだという。そんな不思議なことを実際の測定で明らかにするきっかけとなったのがこの画像。注目するのは4つの星。
相対性理論~星の光が重力で曲げられ4つの像に見える「重力レンズ現象」
この星、実はひとつの星の光が、手前にある銀河団の重力によって大きく曲げられ、4つの像に見えているものだった。重力レンズと呼ばれる現象だ。アインシュタインは重い天体があると周りの空間がゆがむとしていた。
2015年にハッブル宇宙望遠鏡で見えた4つの星が2011年には写っていない不思議
そうすると光は曲がりレンズのような効果が起こることになる。さらにこの星は普通の星ではなかった。2015年にハッブル宇宙望遠鏡で撮影された4つの星は2011年の同じ場所の写真を見てみると、写っていない。
相対性理論~世界で初めて超新星爆発を重力レンズ現象で観測!
この天体、実は超新星爆発だった。超新星爆発とは重い星が一生の最後に起こす大爆発。一つの銀河でおよそ100年に1回しか起こらない。この画像は世界で初めて、超新星爆発を重力レンズ現象で観測したものだった。
超新星爆発の画像に強い興味を持った日本の科学者・東京大学の大栗真宗さん
この画像に強い興味を持った日本の科学者が東京大学で重力レンズ現象について理論的研究を行っている大栗真宗さん(当時助教)。この発見を知るとすぐに領域の重力分布を計算によって導き出した。
相対性理論~4つでなく6つの超新星像が現れることを予想
図の白いところほど重力が大きく、重力レンズ効果が強くなることを示している。調べた結果、驚きの事実が導き出された。「調べてみたら、全部で6つの超新星像がでるということが計算の結果分かったわけです」
相対性理論~写っていない超新星像のうち1つはすでに消えたもの
大栗さんは4つの光以外に重力レンズによってあと2つ別の像が現れると予想した。しかしここには写っていない。なんとその像、ひとつは16年前に現れ、すでに消えていて、もうひとつは未来に現れるというのだ。
相対性理論~写っていない超新星像のうち、もう1つは1年後に現れると予測
もう一つは4つが現れてから約1年後に現れるであろうと予測した。その原因は重力の分布にあった。実は4つの像を生み出した重力源のそばにもうひとつ、さらに大きな重力源があったのだ。
相対性理論~さらに大きな重力源の影響で地球に届くのが1年遅れる
そのため超新星爆発の光がそこを通過する時に、極めて大きな重力によって空間がゆがみ、光の進む経路が伸ばされる。そして時間の流れも遅くなるため、地球に届くまでに1年の時差が生まれると算出されたのだ。
まるでタイムマシン・すでに起きた超新星爆発が1年後にもう一度観測できる
すでに起こってしまっている超新星爆発。しかし1年後にもう一度同じ超新星爆発が観測できる。まるで時間をさかのぼるタイムマシンのような現象が起こるというのだ。
相対性理論~重力レンズ現象のお陰で超新星爆発の全容が捉えられた
2015年12月11日、何もない大栗さんが予想した場所に超新星爆発の光が現れた。これまでは爆発後の姿しか見られなかった超新星爆発が、重力レンズ現象によって世界で初めて全容を捉えることができたのだ。
相対性理論~いつか宇宙のさまざまな現象を時をさかのぼって見られるようになるかも
重力レンズによって生み出された過去に起こったことをさかのぼって再び観察できるという不思議な現象。いつの日か宇宙のさまざまな現象を時をさかのぼって見られるようになるかもしれない。
【相対性理論5上級編】重力レンズで過去の超新星爆発を再び観察
コズミックフロントΩ
世界は「重力によって、空間も時間もゆがむ」と説いたアインシュタインの一般相対性理論。例えば、壊れた貯金箱が、どんな形だったのか?どのように壊されたのか?過去に起こったことを、遡って再び観察できるという、まるでタイムマシンのような現象。そんな不思議なことを明らかにするきっかけとなった4つの星とは・・・(コズミックフロントΩ)