相対性理論がざっくり分かる3つのポイント。キーワードは光・時間・空間
アインシュタインの相対性理論がざっくり分かる3つのポイント。1「最大の功績は『光の謎』を解き明かしたこと。2「動いていると時間の進み方が遅れる」。3「動いている方向の空間は縮んで見える」
東京大学名誉教授で宇宙物理学者の佐藤勝彦さんが解説・自動車に乗って光を出したら?
1の「光の謎」について東京大学名誉教授で宇宙物理学者の佐藤勝彦さんが解説。「電磁気学の法則を使えば光というのは毎秒30万kmであることが分かっていた。では自動車に乗って光を出したらどう見えるのか?」
前から来る車は早く、後ろから来る車はゆっくり近づく。では光は?
相対性理論の登場以前にあった光の謎を高速道路を例に説明。前から来る車は速いスピードで近づき、後ろから来る車はゆっくりというように速度は見る立場によって変わる。では“光の速度”は見る立場で変わるのか?
動いている地球上で光を観測したらどうなる?
光は宇宙をどの方向にも同じ速度で進んでいる。一方地球は太陽を中心にして回っている。その動いている地球上で光を観測したら?光と向かい合えば速く、光が追いかけてくる場合は遅く感じられる。そう思うのでは?
19世紀後半の実験では、どの方向から来る光も速度は同じ。その謎は説明できず
しかし19世紀後半に行われた実験では、どの方向から来る光も速度は一切変わらなかった。当時の人々はなぜそうなるのか理由が分からなかった。アインシュタインはその謎を説明する画期的な考え方を提案する。
アインシュタインの革命的な提案「時間は不変ではない。観測者の状態によって変わる」
時間の進み方は観測者の運動状態によって異なる。誰から見ても絶対だという固定観念を捨てることにしたのだ。「光速度不変を原理にすると、時間は決して不変ではないという。これは本当に革命的な考え方です」
「動いていると時間の進み方が遅れる」を宇宙空間を例に解説
2「動いていると時間の進み方が遅れる」を解説。宇宙空間に静止して浮かんでいる宇宙船、そして2人の人物がいる。ひとりは宇宙船の乗組員。もうひとりはその宇宙船を小惑星から眺めている宇宙飛行士。
光が片道進むと1秒が計れる「光時計」を想定
「光時計」という上と下にそれぞれ鏡が取り付けられ、光が反射しながら行ったり来たりする装置を考える。光が下から上に到達するまでがちょうど1秒で、この光の往復で時間が計れる「時計」になっている。
宇宙船が飛行しても、宇宙船の中の光時計は片道1秒
光時計が宇宙船の中と小惑星にそれぞれ置かれている。宇宙船が静止している間は2つの光時計は同じように時を刻む。宇宙船を飛行させると、乗組員から見たら、宇宙船の中の光時計はいつも通り片道1秒で時を刻む。
宇宙船の中にある光時計を小惑星から見ると到達までに余計に時間がかかる
では宇宙船の中にある光時計を小惑星の人物から見てみよう。光は小惑星上の光時計と同じ速度で進む。しかし光が進む間に光時計の上の鏡が移動するので発射した場所からの距離が伸びて到達までに余計に時間がかかる。
小惑星上で1秒たっても宇宙船では1秒たたず=動いているものは時間が遅れて見える
小惑星上の光時計が1秒を刻む間に宇宙船の中の光は上まで到達しておらず、1秒たっていないように小惑星の人物からは見える。これが光時計が明らかにした「動いているものは時間が遅れて見える」という事実だ。
宇宙船に1年後に爆発する時限爆弾が!「動いている方向の空間は縮んで見える」を解説
3「動いている方向の空間は縮んで見える」を解説。ある惑星から地球に向かう宇宙船に1年後に爆発する時限爆弾が仕掛けられていた。地球には解除装置があるので1年以内に地球にたどり着けば爆発することはない。
惑星と地球の距離は1光年、宇宙船は光速よりも遅い。宇宙船は爆発してしまうのか?
宇宙船が出発した惑星は地球から見て1光年。光が1年がかりで進む距離だけ離れている。しかし宇宙船は光速よりも少し遅い速度で地球に向かっている。宇宙船は制限時間に間に合わず爆発してしまうのか?
宇宙船の中の時計は1年たっておらず、無事に地球にたどり着く
ところが宇宙船は無事爆発前に地球にたどり着く。肝心なのは制限時間は宇宙船にとっての時間、1光年という距離は地球から見た距離ということ。宇宙船の中の時計は到着までに1年たっていないのだ。
動いているものは時間が遅く進むという事実。宇宙船から見た地球までの距離は短い
実は宇宙船から見た地球までの距離は、地球から見た距離よりも短くなっている。地球から見た1光年という距離も宇宙船から見れば1光年より短い。動いているものは時間が遅く進むのが時間に関する事実だった。
宇宙船から見ると地球や惑星は縮んで見える→動いている方向の空間は縮んで見える
同様に空間においては、動いているものから見たとき、その周りの世界は縮んでいるということになる。つまり宇宙船から見ると地球までの距離が短くなり、地球や惑星は縮んでひずんだ形をしている。
相対性理論は光速度不変を原理とし“時間と空間は絶対”を否定した
「絶対ということはなくすべてが相対的。地球は太陽のまわりを回り、太陽は銀河系の中で動き、どこが基準かは分からない」。ざっくりまとめると「相対性理論は光速度不変を原理とし“時間と空間は絶対”を否定した」
【相対性理論2入門編】アインシュタインの理論を佐藤勝彦が解説
100分de名著
光速に近づくと時間がたつのが遅くなる?重力で宇宙空間がひずむ?常識とはかけ離れた世界に感じられるアインシュタインの〝相対性理論〟。聞いたことはあるけれど、一体どういう内容なの?相対性理論がざっくり分かる3つのポイントを簡単に解説します!(100分de名著)